友の会だより181号で紹介した無肥料栽培に携わる石井ピュアファームの石井代表。
今回は実際に福岡県にある農場に伺い、化学物質過敏症や食物アレルギーの方でも食べられる野菜づくりの実際に迫りました。
石井ピュアファーム代表
石井 吉彦さん
名古屋生まれ。45年間自然農法に携わる。現在は誰でも食べられる種からこだわった安心安全な究極野菜の作り方を広めるために福津市で農業研修や種と土と野菜のセミナーを開催。米コロラド州ホリスティックカレッジ卒業「認定療養栄養士」資格取得。
森田 収穫し、その場で味わったキュウリは歯ごたえ抜群、無肥料栽培野菜は力強いですね。採れたてをすぐ頬張れるのも安心安全な証。バッタや蝶の姿もあり、すべて次世代に残したいと思いました。
石井 45年近く千葉で種にこだわり無肥料栽培に取り組んでいました。しかし、福島の原発事故後、化学物質過敏症や食物アレルギーの方が、うちの野菜なら食べられたのに食べられなくなったと。私も相当ショックでした。移転を決意し、ご縁をいただいたこの場所で再出発。蜂がいるので人工受粉も必要なし、ありがたい環境ですね。
石井 ここに移住するにあたり〈自分だけでつくるのはやめる〉と決めていました。自分一人で栽培、販売しても、化学物質過敏症や食物アレルギーで困っている方へのお届けは追いつかないし、無肥料栽培は広がりにくい。それより、この野菜づくりのできる人材を育成すれば、自分一人でやるよりも早く広がります。だから農業研修を行い、無肥料栽培できる人を育てています。「こだわりすぎた小さなマルシェ」もその一環です。マルシェ参加者には無肥料栽培野菜を体験してもらいます。講師は農業研修の卒業生で、卒業生の成果や得意分野を発表する場に、また宣伝や販促の機会になればと企画しました。
森田 水かけ、肥料、農薬散布などを行わない無肥料栽培を知ったときの衝撃は今でも忘れられません(笑)。と同時に、無添加にこだわるものづくりをする当社と相通じる点も感じました。
石井 人間がすべきことは種本来が持つ力を削がない、邪魔しないことだと思います。水かけ、肥料・農薬散布など手を加えることは、自然界からすると余計なお世話。うちの種は、気候や土の変化に適応し、土中の水を求めて根をはるので水かけが必要ない。ただ、日本で使用されている大半の種ではこうはいきません。なぜなら、化学物質の影響を受けた種なので自然に適応できず、常に人の手が必要です。無肥料栽培で作った野菜から種を自家採種し、その種で無肥料栽培をする。自然界では当然の姿なんです。
森田 食について関心の高い方が多いと思いますが、無肥料栽培があまり広がらないのは、情報が届いていない、あるいは理解に至らずといったところでしょうか。
キュウリ、オクラ、ゴーヤを収穫し収穫野菜でランチ。自家製のジンジャーエールやチャイもいただきました。
森田 洗浄剤の場合は裏書きで確認できますが、野菜には裏書きがない。それと、ゲノム編集など種の裏書きにも注意する必要がありそうです。洗浄剤の場合は裏書きで確認できますが、野菜には裏書きがない。それと、ゲノム編集など種の裏書きにも注意する必要がありそうです。
石井 遺伝子組み換えとは違い、ゲノム編集には表示義務も規制もありません。ゲノム編集は遺伝子を切ることで突然変異を起こす方法。それは自然界の突然変異と区別できないというのが農林水産省の言い分なんですね。たとえば、果物の糖質にあたる遺伝子情報をカットし突然変異が成功する。糖尿病予防の果物のできあがりといった具合です。それが、人間の体にどう影響をするかまったくわからない。区別できないとはいえ、人間の手を加えていることは確かで、自然のものではない。つまり、安全かどうか証明されていないんです。ゲノム編集食品は市中にすでに出回っており、知らず知らずのうちに口にしているかもしれないのです。
森田 最後に読者へのメッセージをお願いします。
森田 一人ひとりが正しく知り、行動することが大事ですね。貴重なお話をありがとうございました、今後もさまざまな企画でご一緒させてください。