日蓮宗 浄泉寺は、北九州市小倉南区の深い緑に囲まれた山の奥で、1979年に誕生しました。お寺は仏事での関わりが多いためか敷居が高いと思われがちですが、本来は人々の日常とともにある存在です。浄泉寺では、お寺での写経会やヨガの開催に加えて、出張写経や楽しくおしゃべりする会など、こちらからいろいろな所に出向いて、誰もが親しみやすい場をつくり、心豊かな“生き方”を説く仏の教えを伝えています。
(副住職)
私の妻と姉は、香りに敏感で人工的で過剰な香りにふれると不調になることがあります。柔軟剤などでうたわれている「いつまでも続くいい香り」は、2人にとってはそうではないのです。
(妻の綾さん)
以前、外国メーカーのとても香りの強い柔軟剤が流行したとき、私もブームに乗ってその柔軟剤を使用していましたが、
香りに飽きたタイミングであまり匂いがしない洗剤を選ぶようになりました。それから、いろんなことを学び選んでいく中で、最終的に実家で昔から使用していた無添加の洗剤に戻りました。
無添加の洗剤を使いだすと、色々なものに付いた人工的な香りがとても気になるようになりました。例えば、宅配の荷物です。届いた外包に強い香りが染み付いていることがあり、そのときは長時間風通しのよい場所に置いておきます。
それでも、箱を開封すると商品にも香りが移っていてなかなか取れません。そんな人工的な香りに触れると頭が痛くなったり、気分が悪くなったりします。鼻の奥にもずっと残るので食事がおいしく食べられないこともあります。
また、宅配業者の方の服から人工的な香りがすることもあります。お仕事柄汗をかくので、良い香りとうたわれている洗剤や柔軟剤を良かれと思って使われているのだと思います。デリケートな内容のため長い期間大変悩みましたが、勇気を出して宅配業者の方に「香害」についてご存知かお聞きしてみました。
突然のお話にご本人はビックリされていましたが、「では、どのような洗剤を使ったら良いのでしょうか?」と私に寄り添って受けとめてくださり、今では全く香りがしなくなりました。ご自身でも「香害」について調べてくださったようです。本当に嬉しく、感謝の思いでいっぱいになりました。
(姉の陽子さん)
子育て中の立場としても、やはり「香害」は子どもたちの未来にも関わることなので、たくさんの方に知ってもらって選択してほしいなと思います。基本にかえってみれば、洗濯は本来「汚れをおとす」というだけのシンプルなこと。そこに人工的な強い香りは本当に必要なのか、立ち止まって考えてみてほしいです。洗剤のこと、香害のこと、少しずつでも知ってもらい、やさしい未来が広がっていくことを願っています。
(妻・姉)
私たちからもできる限り、香害についてもっと広く伝えていけたらと思い、折に触れてSNSでの発信や、直接話せる人には状況に応じて自分の経験談を織りまぜながら伝えています。もちろん主張を押し付けるのではなく、何よりも大切にしているのは「一緒に考えていきましょう」という気持ちです。
シャボン玉石けんさんの「香害」の意見広告も引用させていただきました。知名度のある会社が発信する情報は信頼性と説得力がありますし、意見広告も「香害啓発マーク」もインパクトのあるデザインですが、攻撃的ではないように配慮され、やさしくて力強いメッセージだと感じます。
(副住職)
どのようなこともまずは「知る」ことから人と人との調和の道が生まれます。相手の苦しみを知ることで、自分には何ができるかを考えます。つらさを抱える人は、このつらさは自分だけではないんだと知れることで楽になる心があります。仏教で説く慈悲の教えの実践です。
時として「伝える」ことには勇気がいりますが、1人ひとりの心に寄り添いながら、皆がよりよい方向へ進む流れをゆるやかにでもつくっていけたらと思っています。
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