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「石けん」と「合成洗剤」、
”モノや肌を洗う洗浄剤”という意味では同じですが、
その違いをご存知ですか?
用途や形状の違いではありません。
そもそも、原料・製法・成分 などが異なる、まったくの別物なのです。
石けんの起源は約1万年前。人間が火を使うようになって、獣肉を焼いて食べることを始めました。その際、獣肉からしたたり落ちる油と木の灰が反応した土が、汚れを落とす土として発見されたのが石けんのはじまりと言われています。
天然素材だけを使った昔ながらの石けんは、その長い歴史が、人や環境へのやさしさを証明しています。
だから、私たちは無添加石けん にこだわります。
第一次世界大戦中、ドイツは石けんの原料である油脂が欠乏し、石けん製造ができなくなりました。そこで開発されたのが、石油を原料とした合成洗剤です。日本では、1937年(昭和12年)に、ウール用中性洗剤として初めて市販されています。その後、第二次世界大戦後にアメリカの石油資本の生産増大、電気洗濯機の普及、アメリカ及びヨーロッパの硬水地区における石けんの欠点(石けんカス)などで、急速に合成洗剤が洗浄剤の主流に代わっていきました。アメリカでは1952年、日本では1963年に、合成洗剤の使用量が石けんの使用量を上回りました。合成洗剤の日本での本格的な歴史は約60年と、まだ短いものです。一方この60年で様々な環境問題や健康被害が取りざたされるようになりました。
「石けん」は、天然油脂もしくは脂肪酸から作られ、合成洗剤は石油や天然油脂から作られます。
石けんは、天然油脂(もしくは天然油脂が元の脂肪酸)を原料に、「ケン化法」もしくは「中和法」という製法で作られます。
天然油脂などの原料を苛性ソーダ・苛性カリと反応させることにより、石けんが出来上がります。
※シャボン玉石けんでは、天然油脂にある保湿成分が石けんに残る「ケン化法」にこだわって石けんを製造しています。
合成洗剤はその製造工程から、大規模な製造施設が必要です。まず石油からアルキルベンゼン・アルファオレフィン・高級アルコールといった合成界面活性剤原料を作ります。それに硫酸化(スルホン化)や中和といった複雑な化学合成を経て合成界面活性剤を作り出します。
さらにビルダー(助剤)などを添加し、合成洗剤を製造しています。
最近では「植物由来」といったふれこみで、天然油脂を原料にした合成洗剤も存在しますが、石油由来の合成洗剤と同様に複雑な化学合成を繰り返し、最終的には自然界には存在しない合成界面活性剤を成分としています。
石けんは、「石けん素地」や「カリ石ケン素地」、もしくは
「純石けん分(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)」という成分でできています。
合成洗剤は化学合成で作られた、合成界面活性剤が成分となります。
つまり、商品の成分表示を見れば
石けんか合成洗剤かは、簡単に見分けられるのです。
合成洗剤の場合は品名に「合成洗剤」と表記があり、石けんの場合は「石けん」と表記があります。
また、合成洗剤と石けんが合わさった「複合石けん」というのもあります。
つまり・・・、成分に『石けん』という文字がなければ
合成洗剤として見てほぼ間違いなし。
「界面」とは「境“界面”」という意味で、「界面活性剤」とは、油と水など、混ざり合わない物質の間にできる境界面(=界面)の性質を変え、混じり合わせることができるようにする物質です。シャンプーなどに使われる界面活性剤はこれらの作用から、水だけでは落とせないワックスやヘアスプレー、皮脂などを包み込んではがしやすくするのです。
合成界面活性剤は約2,000種類。その中には、PRTR制度※で“人の健康や生態系に有害なおそれがある化学物質”に指定されている合成界面活性剤もあります。
「人の健康や生態系に有害なおそれがある化学物質について、環境中への排出量及び廃棄物に含まれての移動量を事業者が自ら把握して行政庁に報告し、さらに行政庁は事業者からの報告や統計資料を用いた推計に基づき排出量・移動量を集計・公表する制度」をいいます。環境省がまとめた2018年度の資料によると、全都道府県における対象化学物質の届出・届出外排出量上位10物質のうち、4位と8位に合成界面活性剤(POE・RとLAS)が入っており、家庭からの届出外排出量を見ると、全体の半分以上が合成界面活性剤で占めています。
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)
[直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩]
・アルキル硫酸エステルナトリウム(AS,ラウリル硫酸ナトリウム)
[ドデシル硫酸ナトリウム]
・アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES,ラウレス硫酸ナトリウム)
[ポリ(オキシチレン)=ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム]
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE,POE・R)
[ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル]
環境にやさしい石けんですが、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質として化管法のPRTR制度の対象物質とする法改正が検討されていました。
しかし、2021年10月15日に対象物質から外れることが発表されました。
化管法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)
…事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする法律のこと。
石けんをPRTR制度の
対象物質とする
法改正案の
パブリックコメント
募集
当社から
意見書を提出
662件の意見書が提出されたが、
改正案の通り進める。
法令化に関するパブリックコメント募集
当社から
意見書を提出
秋野公造参議員が参議院の
決算委員会で質疑
PRTR制度の対象物質から外れることが
公表される(4,199件の意見書)
多くの皆さまのご意見や秋野参議員の質疑などによって、石けんはPRTR制度の対象物質に追加はされませんでしたが、政府からの回答は「継続して検討する」とのことであり、完全に除外されていないことが分かります。そこで、秋野参議員とともに、2021年11月9日に、宮崎勝環境大臣政務官に石けんを対象物質とするならゼロベースで検討するよう、要望書を提出しました。